2016年度入学式式辞(2016年4月4日)

2016年度に入学された皆さんへ

寒暖の変化が目まぐるしかった天候もようやく落ち着いて、一気に春らしくなりました。南から桜前線が日本列島を北上しています。本学キャンパス内の桜も、皆さんの入学をお祝いするように咲き誇っています。

本日、希望に胸を膨らませて広島工業大学に入学された、大学院博士前期課程42名、学部1,160名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私たち広島工業大学教職員一同、皆さんのご入学を心より歓迎いたします。特に、本年度、新たに誕生しました大学院博士前期課程生命機能工学専攻および工学部環境土木工学科、環境学部建築デザイン学科に入学された皆さん、皆さんは、広島工業大学の歴史に新たな1ページを刻むことになります。大いに期待しています。

高いところから失礼しますが、保護者の皆様、ご子女のご入学、誠におめでとうございます。ご子女の本日の晴れ姿をご覧になって、大変お喜びになっておられるものと拝察し、学校法人鶴学園、そして広島工業大学を代表して、心よりお祝いを申し上げます。これから、大学院、学部でご子女を預からせていただき、立派な社会人として活躍することができるよう、教職員一同、精一杯努力してまいります。よろしくお願い申し上げます。

また、平素より本学の教育運営にご理解とご協力をいただいておりますご来賓の皆様、本日は、新年度早々でご多忙のところ、新入生の門出をお祝いしてくださいまして、誠にありがとうございます。高いところから恐縮ですが、厚くお礼申し上げます。

さて、新入生の皆さんは大学院あるいは大学に入学という目的を達成し、それぞれの夢や目標に向かって、「さあ頑張るぞ」と決意を新たにしているところだと思います。いや、それ以上に、学生生活はどうなるのだろうか、専門的な勉強や研究に付いていけるだろうかと、不安を持っている方もいらっしゃるかもしれません。

そんな不安を解消して早く大学に馴染んでもらおうと、本年度から、入学式に先立って学部生を対象に新入生ガイダンスを4月1日からに早めました。既にガイダンスで心構えの説明があったと思いますが、大学生活はこれまでの高校時代などとは大きく変わります。

本学は、堅実な学力と豊かな人間力に満ちた倫理観ある技術者を育成するため、本年度、新しいカリキュラムをスタートさせます。「HIT教育2016」と名付けました。HITは、広島工業大学の英語表記であるHiroshima Institute of Technologyの頭文字です。

HIT教育とは、学校法人鶴学園の建学の精神「教育は愛なり」および教育方針「常に神と共に歩み社会に奉仕する」を教育の基本に据え、技術と人間の深い関わりを重視した教育の質を保証することを最大の目的に、多彩な学びを展開する仕組みの総称です。新入生の皆さん全員にノートパソコンを必携としたのもその一環です。詳細はガイダンスなどに譲りますが、ここではその特徴を簡単にご紹介します。

まず皆さんが、入学から卒業までスムーズに学んでいけるように、そして現代社会において大学卒業生として期待される学力を身に付けてもらうために、教養教育、初年次教育、基礎教育そして専門教育まで、カリキュラムの見直しを行いました。大学生を受け入れてくれる企業から、最近の学生の学力が落ちているのではないか、学生には大学でしっかりと学んでもらいたい、という声がしばしば聞かれるからです。その意見に応えられるように授業科目を精選化し、授業方法に工夫を加え、さらに学修への支援システムの充実を図っています。

こういった学力の面での見直しだけではありません。本学では、皆さんが自立した一人の人間として力強く生きていくとともに、社会を構成し運営していくために必要な力である「人間力」を養うことにも力を入れています。それを確認する指標として、「HITポイント制度」を導入しました。大学が定めたクラブ活動やボランティア活動、資格取得などに対して、HITポイントを設定します。HITポイントのポイント数は、「特待生」選考基準の一つとなります。

ところで皆さん、そもそも私たちには、なぜ人間力が必要なのでしょうか。社会生活で重要視されるコミュニケーション能力とか、自分の将来を意欲的に描いて実現できるよう努力をする自己実現能力では不十分なのでしょうか。そうです。それらでは足りないのです。もっと根源的な要素が人間力には含まれているのです。

私は今、皆さんに人間力の説明をする際、二つの要素を指摘しました。一つは「自立した一人の人間として力強く生きていく」こと、もう一つは「社会を構成し運営していくために必要な力」です。

自立した一人の人間として力強く生きていくことは、その言葉どおり、社会がどのように変わろうと自分で生き抜いていくたくましさを持つことであり、ひと言で言うなら「生きる力」を身に付けることです。ぜひ皆さんも大学生活において培っていただきたい。

もう一つの要素である、社会を構成し運営していくために必要な力については、もう少し説明が必要と思われます。

テレビで戦国時代を舞台にした大河ドラマが、毎週日曜日に放映されています。戦国時代と言えば、「城」が思い浮かびます。そこで城を例に説明しますと、城は通常、石を一つ一つ積み上げた石垣の上に築かれます。もし築かれた石垣の石が一つでも欠けると石垣はどうなるでしょうか。そこからやがて大きなほころびとなって土台が崩れ、最後は城自体が崩壊してしまうかもしれません。

人間社会も同じです。私たち一人ひとりは小さな存在です。石垣を構成する一つの石のような存在です。しかし、自分に割り当てられた役割をおろそかにしていると、たちまちその部分から崩れて、さまざまなトラブルが生じ、社会は混乱し弱体化してしまいます。私たちは小さな存在であっても、それぞれに与えられた役割があり、一人が欠けても世の中は成り立たちません。みんなかけがえのない存在なのです。

社会を構成し運営していくために必要な力とは、社会において自分に与えられた役割を一所懸命担い、社会を支える力にほかなりません。人としての存在感を発揮する力、と言ってもいいでしょう。石垣の石一つ一つが支え合って強じんさを発揮するように、私たち一人ひとりが人間力を発揮してお互いを支え合うこと、それが社会のために尽くすことなのです。つまり、本学の教育方針である「常に神と共に歩み社会に奉仕する」を実践することになるのです。

私たちは今日から皆さんに、建学の精神と教育方針に基づいた教育を展開してまいります。基礎教育、専門教育をしっかりと学び、高い倫理観を持った人間として、大きくたくましく成長されることを楽しみにしています。当然ながら、大学は勉強ばかりするところではありません。クラブ活動やインターンシップ、ボランティア活動などを通して、多くの友人を作ったり、社会の勉強をしたりする機会もたくさんあります。健康に十分注意しながら充実した学生生活を送ってください。

そして、皆さんが将来、技術立国日本を背負う堅実な学力と豊かな人間力に満ちた倫理観ある技術者として活躍されることを期待し、本日の入学に際しての式辞といたします。

過去のメッセージ